いまさら原発のアレコレ(Fukushima 50の感想とか)

はいどうも!カカセオのおっさんです。

早いものでもうあの311から10年ですよ。あの時カカセオは職場にいて、ビルの高層階にいたものだから、ひとしきり揺れた後の免振によって長く続く揺れがまるでフェリーにでも乗ってるような揺れで不気味だったのを覚えてますよ。

窓からはすぐ近くの巨大なセルリアンタワーがまるで豆腐のように揺れてるを見ながら、首都壊滅が脳裏によぎったのが今でも鮮明に思い出せますわ。

そこから帰宅難民としてひたすら世田谷通りを下り、そのまま津久井道になってもさらにひたすら下り、当時暮らしていた家を目指して延々と歩いたわけだけど、とにかくどこにも電話は繋がらないしSNSでは錯綜した情報が氾濫してて、自転車屋に入れば一輪車とめちゃくちゃ高価なロードマンだけが残ってるという異常な特需。。

まー大変でした。

なんて思うのもつかの間、すぐに津波被害地域の状況や倒壊被害を見るにつけ、帰宅難民で大変だったなんて言うのも恥ずかしくなるような日本の状況ですよ。

積る雪のなか、瓦礫の中で棺桶に覆いかぶさる老人の姿や、父母を失って毛布にくるまる子供の姿なんかを見て、シクシク泣いて暮らす日々がしばらく続きましたね。

非力で何の行動も起こさない自分にもやっぱ失望しましたねー。

これねー、「起こせない」ではなく、「起こさない」ってのが一番失望ですよね。

そんで全企業がCMを自粛する中でのあのACジャパンのCM漬けの日々も非日常感を後押ししますが、なんといっても極めつけはフクイチですよ。

水蒸気爆発の映像を見たときは、ああ、日本終わったな。と思いましたよ。

そう、あのフクイチね。

あれはほんとにひでえ事故でしたよ。

フクイチに関して、カカセオ的なひでえポイントを挙げると、、、

・もともとシビアアクシデントの想定では津波15Mが予見されてた事実

・非常用電源のディーゼル機関が正副ともに浸水必至の場所に設置されてた

・線量増加のため病院の高齢患者の救出が打ち切りになり見殺しになった

・緊急の中の海水注入に対し、官邸側から停止指示がなされてた

あたりですね。やっぱ。

まぁなにせ自然災害っつうよりも、完全にこれは人災ですからね。

あ、そうそう、あとそもそも論だけど、ひでえポイントといえば、全国の54基の原発が停止しても日本全国の電力は不足しないっていう事実ですよ。イカれた構造ですね。

東電を中心とした原子力ムラってのは、まぁ自由主義っていうか資本主義の愚かな部分をほんとによく映した構造だと思うわけですね。

でもあれですね。

当時のフクイチで奮闘してた東電関係者は大変でしたよね。

今は亡き吉田所長ですよ。カカセオとしては吉田所長を考えると、なんだかJAL123便の高濱機長を思い出すんですよね。

もちろん組織の長だけではなくて、現場の様々な立場の人々はほんとによく奮闘したと思います。

で、最初に書いたように、そうかーもう10年かーとか思いながら最初はあれですね相馬市あたりの津波の映像をyoutubeで見てたんですね。やっぱ今みてもとんでもない状況ですよ。

そんな感じに掘ってたら、なんと事故対応当時の東電の各拠点の、ホットラインで常時つなぎっぱになってたテレビ会議の映像音声が公開されてるんですね。

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幹部A「自衛隊に建屋のパネル撃ち落としてもらおうよ」

幹部B「いや、それも考えたんだけどね、下には色々と重要な云々…」

幹部A「だってどのみち吹っ飛ぶんだよ」

とか、

幹部「おい!吉田!四の五の言わずにドライベントやれぇ!」

とか、怒号とか切迫した意思疎通とかがそのままアップされてて、なにこれ?すげえ💦

ってなったわけですよ。

これらの映像資料の核心に迫る一部は公開されてないようだけど、公開自体を実現したのは、どうやら脱原発弁護団全国連絡会の河合弘之先生らの活動によるところっぽい。

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そうそう、ドライベントってのは、ドライウェルベントの略で、原子炉内の圧力を外部環境に逃がすための措置で、水にくぐらせてフィルターによって放射性物質をかなりカットできるウェットベントに比べ、ノンフィルターで煙突から環境に圧力ガスを逃がすっていう異常な措置で、ウェットベントでさえ世界初なのに、選択の余地もなくドライベント即決っていう、もうほんとシャレにならない状況ってことですね。

でまぁ、そういうの観てたら映画のFukushima 50ってどんなだろうってことで、ちょうどアマプラで500円でレンタルできるってんで観てみたわけですよ。

 かなりの豪華キャストですね。

でも、まぁ、それだけですな。

ちょっとあれですよ、さっき高濱機長とか書きましたが、クライマーズ・ハイを彷彿とさせる感じもありましたが、どっちかっていうと一貫して東電庇護な感じなのと、吉田所長を渡辺謙がやっちゃうとかっこよくなりすぎちゃうっていうか、まぁそりゃ映画だから仕方ないんだけどね。。

そうそうそこいくとクライマーズハイはあれだよ。ちょっと事故調に対して挑戦的な結論になってるから、そこは一歩リードしてるよ。(比べるアレじゃないだろうけどw)

クライマーズハイ堤真一が主演したバージョンと、佐藤浩市が主演したバージョンがあって、カカセオはどちらも観たけど佐藤浩市バージョンが良いよ。

佐藤浩市堀部圭亮のコンビってことでクライマーズハイを思い出すって感じもあるんだけど、あ、あと忘れちゃいけない大好き大人計画皆川猿時さんですよ!猿時さんもクライマーズハイ出てるからねー。

なんか、キャストがけっこうかぶってるけど、もしかしてなにか監督も意識してたのかな。

まぁいいや。

それでね、やっぱカカセオは小出裕章先生とか凄いなって思うんですよ。

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前述の河合弘之先生も凄いけど、なんかあれだよね。年配層の知識人や、いや、一般人でも実は年配の方々が草の根運動的なものも含めて頑張ってる感じがするんだよね。

いや、カカセオなんかが何か言う資格は無いし、若い世代の人でも世の中よくしようと活動している人はたくさんいると思うけど、若い世代も負けてちゃいけないよなぁとは思いますねー。カカセオはおっさんだけど、まぁまだ若い世代といっても良いかもって思いつつ。

小出裕章先生はもともとは原子力工学分野の出身で、でも曇りなきマナコで反原発を唱える立場を選んで、長年の活動をされてるわけで、キャリアもくそも関係なくやってるわけですよね。京大の原子工学ですよw。御用学者やったたほうがボロクソ儲かるだろうに、そんな道を選ばなかったわけですね。

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そこいくと、もう一人面白い人がいて、元東電技術者の木村俊雄さんって人なんだけど、この人が面白い。

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最初は、なんじゃこのちょっとヒッピーっぽい感じで、ちょい悪っぽいチャラい感じのおっさんは、、、って思うけど、実はプラントエンジニアとしての知識も凄いし、一般人への説明もうまいし、高校から東電学園のスパルタ式でたたきこんだ理数系工学知識の片りんを見せる講演会も見ものだ。

これね

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凄いよ。

東電はあくまでも地震ではなく津波によって炉心溶融に至るまでの過酷事故を起こした。ってスタンスを頑なにとってるわけだけど、実は地震振動によって原子炉の冷却能力を喪失してた。っていう事実を暴いたんですね。

これは地震によって原子炉の安全性を担保できない状況になるってのは、

電気事業法違反

・設置許可違反

・工事認可申請書違反

に該当する事象であって、法規上も制度上もバンバン落ち度があるわけだから、東電としては認めるわけにいかないやつなんですね。

しかも、データを解析してその根拠を示すまでの過程の話も面白い。

この木村さんは、そもそも東電辞めて原発とかエネルギーと関わらないで暮らしていきたかった人だから、本当は関わりたくなかったわけですね。

木村さんはチャラい感じの口調で理工学系の用語や、政治や司法ワードを繰り出す感じで魅力的すぎる。

あと、小出先生のとぎれとぎれの話し方が、凄いかっこいい。

あと、吉田所長も緊急時ってのもあってか本店に強硬な態度で立ち向かったり東電の顧問先生に「今やってますから!ディスターブしないでください!」って言ったり。

直訳したら、「うるせえ!じゃますんな!」って意味だからねw。

サラリーマンとしてはちょっと胸が熱くなるところもある。

実際吉田所長も凄いよ。

官邸から海水入れるなって言われて、本店からも言われてる中、こっそり遂行してたし。

しかし地球上唯一の戦争被爆国でチェルノブイリでもメルトスルー止まりだったのに、世界初のメルトアウトの可能性すらあるってのは、きちい話ですよ。

あ、原子炉ってのはね、核燃料を覆う鋼鉄製の一番内側の容器を圧力容器、その外側を格納容器、さらにその外側を建屋が覆ってて、大まかにはその三重の構造になってるんだけど、

核燃料の冷却能力が停止して燃料棒が溶融してから、それがどこまで溶け落ちるかってので深刻度が変わるんだよね。

まずは溶けた燃料が圧力容器内に留まればメルトダウン

圧力容器の底辺を熱で溶かして突き抜けて格納容器の底辺に到達すればメルトスルー

さらにそれを突き抜けるとそこには、自然の土壌がある。

そこまで到達した場合はメルトアウトっていって、スリーマイル島の時に出てきた言葉のチャイナシンドロームを地でいく事態になるんだけど、福島はもうそこまで行っちゃってるんじゃないかっていう見解もある。

そしたら地下水が汚染されるからね。将来にわたって及ぼす被害は完全に予測不能になるし、近くの水源を生活水に使う地域はもちろんのこと、海洋汚染被害たるや国内のみならず国際社会から猛烈に批判されるだろうし、水産物なんて恐ろしくてマジで食えないわけですよね。

しかも高速増殖炉の計画では裏に核武装の目的もあったわけだけど、そもそも戦争状態になって物理的な武力交戦状態になった場合は、国内54基の原発のどこかにミサイル照準を合わされたら速攻で白旗上げることになるので、本末転倒すぎるでしょと。。。

だからこれは日本の保守勢力が望んでたってよりも正力松太郎とか巣鴨プリズン組とか要するに昭和の自民党を筆頭に米国から課せられたDSSチョーカーでもあり、かつ仮想敵国である中国に対する抑止力というか鉄砲玉というか、そういう位置づけにある日本が浮き彫りになるのと、加えてGMへの発注に端を発する原子力ムラを形成するイカれた経済合理性、いや、合理性なんて良いものじゃなくて経済至上主義が手を取り合って加速した結果ってことですわな。

なにしろ本来は54基全部が電力供給の観点からは不要な設備なわけだから。

化石燃料よりも核燃料のほうがコスト安ってのも破綻してるしね。

まーイカれた世の中ですよホント。。。