愛と哀しみのボレロ(作品解説1)

トウシンドーイ、サンテーマーン…♪ はいさい!どうも!カカセオさんです。

…ってことで、始まりますよー^^「愛と哀しみのボレロ」解説です。

 

では、さっそく上映開始…

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冒頭、オーケストラのチューニング音を背景に、ウィラ・ギャザーの格言が提示される。(ウィラ・ギャザーって誰だよw)

”人生には2つか3つの物語しかない

 しかしそれは何度も繰り返される

 その度ごとに初めての時のような残酷さで”

 このチューニング音は時代的にA=442じゃなくて多分440Hzだなw

ウィラ・ギャザーはアメリカの女流作家らしい。

ウィラ・キャザー - Wikipedia

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何やら円形の舞台でボレロを舞うジョルジュ・ドン…

ナレーションがインサートする。

ここに登場する男女の身の上は 劇的なのも ひどく平凡なのもある

それを演じるのは━

と、続いて

ロベール・オッセン、ニコール・ガルシアジェラルディン・チャップリン

実際の役者の名前を列挙している。。

実在人物である劇中の男女すべてにこの映画を捧げます

 

<モスクワ>

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舞台は1936年のモスクワに。

ボリショイ劇場プリマドンナの選考で、この二人のバレリーナの中から選ばれる。

課題曲はラヴェルボレロ

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きました!!リタ・ポエルボールド扮するタチアナたん登場!!(⋈◍>◡<◍)。✧♡

やべー、まじで、ホントかわいい。。

 

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険しいまなざしで見守る選考委員の一員、ジョルジュ・ドン扮するボリス・イトヴィチ

 

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選考で負けてしまうタチアナ。。。TへT

でも見た感じ、素人の目から見てもタチアナのほうが全然上手いのは役者のリタ・ポエルボールド自身のレベルの高さから、演技の上でも下手にやるのが難しかったってことだと思われる。。

 

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すぐにタチアナを慰めに行くボリス。ぶっちゃけ下心しか感じないw。

 

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そして家まで送るボリス。やっぱ下心しか感じないw。

 

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で、そっこうで結婚w(まじで5秒後くらい)

 

 

<パリ>

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舞台は1937年のパリに切り替わる。ここはキャバレークラブ「フォリー・ベルジェール」ゴージャスな編成のオーケストレーションにトップレスの踊り子のモブが多数、フロントのメインダンサーがダイナミックに踊り廻る♪

とにかく華やか。

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ニコール・ガルシア扮するバイオリン奏者のアンヌも楽しそう♪

 

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フォリーの常任指揮者。山場を迎え、指揮にも熱がこもる。

 

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同じくパリのどこかの酒場ではフォリーベルジェールで10年間ダンサーを務めてきたジージネットがダンスを披露し、それを讃える舞台が催されている。

この二人は、もう存在自体がオシャレ。

 

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それを盛り上げているのは、ロベール・オッセン扮するピアニストのシモン・メイヤー。役名からバリバリにユダヤ人色を出している。

となりの盲目のアコーディオン奏者も覚えておいてね。

 

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場面は再びフォリーに。今日も大盛況で景気よし!

 

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と、おもいきや、何やらピアノのパートに異変が、、、

妙にテンポがアウト気味になり、みるみるパッセージがズレまくる・・・

 

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異変に気付き、ピアニストに目をやるアンヌ・・・

 

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ついに演奏も停止してしまい、フォリーの支配人も怪訝な面持ちで立ち上がる・・・

 

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どうやらピアニストは演奏中にぶっ倒れてしまい、運ばれていったようだ。。。

 

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新たなピアニストを補充しなければ!ということでしっぽりと閉店後のフォリーでオーディションが開かれた。応募者数人のピアニストの中には、さっきジーナとジネットの舞台を盛り上げてたシモンの姿が。

 

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シモン、採用された!

フォリー常任指揮者からのキュー出しに対し、冴えわたるオクターブユニゾンのスケール降下をお見舞いし、腕前をいかんなく発揮する。

 

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そして何やらオーケストラピットに熱い視線を送っている。。。

その先には・・・・

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アンヌやー!!

・・・で、、、

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そっこうで結婚!w(まじで5秒後くらいw)

 

<ベルリン>

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場面は1938年のベルリンに。

ナチスハーケンクロイツの幕が掲揚されるフロアにて厳粛に行われるリサイタル。

これまた厳粛にベートーヴェンの月光の第一楽章が終わるところ。。

 

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弾いていたのは、ダニエル・オブリフスキ扮する、ピアニスト(後の指揮者)のカール・クレーマー

 

演奏後、握手をしに、向かった先には・・・・

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なんと総統閣下が!!

彼はフューラーの御前で演奏を披露していたのだった。そりゃ厳粛なわけだ。。

 

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喜び勇んで帰宅するカール。

それを迎える妻のマグダ。そのお腹には二人の子供が。

 

<ニューヨーク>

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次に場面は1939年のニューヨークに。

ここはハドソン川を航行する豪華客船キャロライン号の船内。

フロア一杯に集まった富裕層の紳士淑女の前で演奏するのはジェームズ・カーン扮するジャック・グレンが率いるビックバンドジャズの楽団。

ラジオも生中継されている。

 

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産科の病室で生まれたばかりの赤ん坊(サラ)を抱きながらキャロライン号からのラジオ中継を聞いているのは、ジャック・グレンの妻、ジェラルディン・チャップリン扮するシュザンヌ

ベッドの傍らには長男のジェイソン

とっても幸せそう。

ちなみに、妻役のジェラルディンは、かのチャーリーチャップリンの実の娘だからね。

 

この日に演奏されたのは、生まれた娘のために書いた「サラ」という曲名のスローテンポスウィング。

フォリーベルジェールも名曲だが、このサラもハイパー良い曲。

ほんとフランシス・レイ恐るべしと思った。

ミーラーラ♭ーミ♭ー、レーソーラ♭ーミ♭っ・・・

幾何学的な作りなのに、なんでこんなメロウなメロディになるんだ・・・

この映画、まじで音楽を担当したフランシス・レイとミッシェル・ルグランの働きはデカいと思う。

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最高に良いムードの中、次の曲に移ろうとしたとき、ラジオマンから臨時ニュースが読み上げられる・・・

ドイツ軍のポーランド侵入により、フランスとイギリスがドイツに宣戦布告しました

 

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暗雲たちこめる世界情勢に、さっきまでの笑顔から、一気に不安の表情になるシュザンヌ。。

 

いわゆる第二次世界大戦の始まりだ。。

 

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微妙な空気のなか、再びバトンタッチされたグレン・・・

何といったらいいか…

ただ私たちアメリカ人は

友邦であるフランスとイギリスのために

神のご加護を祈ります

 再び演奏を再開するべく、カウントを開始するグレン・・・

 

 ・・・とまぁ、冒頭からここまでで大体20分強。

一気に4組のカップルが紹介されたわけだ。

まとめると、、、

 

<モスクワ 1936年>

ボリス・イトヴィチ

タチアナ・イトヴィチ

 

<パリ 1937年>

シモン・メイヤー

アンヌ・メイヤー

 

<ベルリン 1938年>

カール・クレイマー

マグダ・クレイマー

 

<ニューヨーク 1939年>

ジャック・グレン

シュザンヌ・グレン

 

欧米4つの都市それぞれの夫婦。共通点は音楽家(モスクワの夫妻はバレエ家)ってところですねー。

この夫婦たちは、当然お互いに離れた地に住む他人同士です。

この夫婦たちから始まる歴史が、運命に導かれてフィナーレに向かって収斂されていくのだけど、今回はここまで。

 

前の記事でも書いたけど、この映画は20世紀を描いた映画でして、歴史上の芸能人のオマージュとしても各キャラクターが描かれていると言われてます。

ここまでで出てきたところだと、

・ジャック・グレン ⇒ グレン・ミラー

・カール・クレーマー ⇒ ハルベルト・フォン・カラヤン

…がモデルだと言われてます。

 

他にも、モスクワ夫婦の子供がヌレエフだったり、グレン夫妻の子供の兄妹がカーペンターズだったり、これから出てくるパリジェンヌがエディット。ピアフだったり、いろいろと20世紀の芸能人がオマージュされているってことです。

 

この冒頭の20分では、上記4組のカップルの紹介と、時代背景の説明が主な役割となっているってことですね。

パリ ⇒ 華やかな雰囲気

モスクワ ⇒ ソ連っぽい雰囲気

ベルリン ⇒ ナチ党の緊張感と帝国主義の雰囲気

ニューヨーク ⇒ 貧富の差が拡がってるが基本豊かな雰囲気

 

で、1939年9月1日のポーランド侵攻を皮切りに、第二次世界大戦の始まりまでを一挙に描いたチャプターってことになりますね。

前の記事にも書いたように、20世紀って人類史上最も重たい罪悪をおかした世紀で、その一方で最もエンターテインメントが開闢した世紀でもあると思います。

ここから先、この4つの家族は戦争による影響を被り、人生が変わっていきます。

 

枢軸国であるドイツはベルリンのクレーマー夫妻も悲惨な目に遭いますが、パリのメイヤー夫妻、特にシモンはユダヤ人です。嫌な予感しますよね。。

 

ってことで、駆け足で冒頭の導入部をまとめてみました。

続きもがんばりますよー^^/

 

では、股!(byナチュラルキッド)